長い長い道のりだ!私も一応100キロウォーカー、しかし長い!
夜勤明けの夜、首に注射を打たれた夜、午後9時には、ほぼ目を閉じてYouTubeを聞いている状態!
愛嫁「もう寝なさい!」と私の携帯を切る!
私「いいとこやったのに!」と半ば、腹かいて画面を見たら!全く見た事の無い人が何か言っていた!完全に寝ていた。恥ずかしいので横に寝る嫁の反対を向いて寝た。
暗くて深〜〜い眠りだった!
おもむろに何時だろうと携帯を見ると午前0時32分。そこからは無の状態と痺れの状態とが交互する。隣の部屋からはマサ子さんの長〜〜い寝言が微妙に聞こえてくる。最近はこんな風に夜を過ごし朝を迎える。
「・・・!」
愛娘「トイレに行って・・・今、10分起きぐらい・・・。」
不安と喜びとが交差する長女の顔、その横で不安だらけの、元・ラガーマンの婿。
「とにかく病院に電話して、支持を聞きなさい!」と優しくも的確な指示を出す愛嫁、その横で「うん、うん」と頷くだけの、元・草野球人の私。
「五分間隔になったら、また連絡下さい」の指示を受けた長女夫婦とその言葉を聞いた私達夫婦にとって、この真夜中の電気をつけた平屋での時間のなんと長い事だろうか!
時折「あっ!キタ、キタ、キタ」と隣の部屋の娘の声以外は「シ〜〜ン」、聞き耳を立てる「ツルの恩返し」のオジーとオバーの心境だ!
遂に出陣の時!夜明け間近のAM5:00
玄関前にベストな車幅でつけていたワンボックスに乗り込む!
大会前の妊婦は一生懸命の笑顔!
サポート役の婿は何て声かけてイイか分からずも一生懸命の笑顔!
監督の愛嫁も一生懸命の笑顔と包容を身体から溢れだたしている。
運転手の私は、下の愛娘の時と同じように、①道を間違わない②信号無視をしない!③とにかく落ち着いているふりをする。・・・この3点に集中する!
長い、長い道のりだ!たかが15分、愛嫁の職場から一番近い病院、自宅から一番近い病院を選んだはずなのに、なんて遠いんだ!「今度、生まれ変わったら産婆になる!」など、わけわからん事を考えながら、病院まで、ひた走る!
警察の方すいません。道路交通法の為、ストレスがかかってしまいます。
夜間受付のボタンを押し間違い「医師の自宅」のボタンを押した事はさておき!まだ、眠そうな看護師さん「モニターで調べるのに30分かかりますので」と悠長なことをぬかす!
私達の目の前を通るたびに、作り笑顔で「まだまだかかります」と悠長なことをぬかす!
「助産師さんが来るのが8時半なので」
・・・ぬかすな〜〜〜〜!と心で激しく暴言をはく3人・・・「は、はい」と作り笑顔の3人。
モニターを終え、一旦控え室に戻る愛娘、看護師の声に素早く反応し、素早く追うラガーマン!さすがだ!
幾分、たった幾分・・・取り残された私達夫婦!今まで何千人、何万人の家族がため息をついたであろうソファーに深くなだれ込む!
控え室に横たわる愛娘と腰をさするラガーマン!精一杯の笑顔で声援する愛嫁!部屋の外から何を言っていいのかわからない私!ただ目頭が熱くなる!
幾分かすぎるとラガーマンが帰って来た?すると悠長に構えていた看護師もバタバタし始める。控え室からは愛娘の唸り声が廊下まで響く!「痛ーい、痛ーい!」の声にいてもたってもいられない!頭の中が真っ白になる。身体全身を壁にぶつけたくなる。何ならラガーマンにタックルされてもいい心境だ!
涙が溢れて止まらない!新しい生命の誕生に頑張っている事は充分わかりきっている、しかし、娘が苦しみ抜いている事も事実だ!
「思ったよりも早く生まれそうですね!」と看護師さん。「お願いします」と頭を深々と下げながらも「それはアンタの感覚だろう」と我に帰る私。看護師から速攻呼び出されたのか?iPodをはめながら急ぎ分娩室へ入る医師!
我に帰った私はとりあえずラガーマンにインタビューをする!
不安な笑みを浮かべながらも真剣な眼差し、試合に臨むラガーマンのドキュメンタリーが撮れた!
まだまだまだまだ心配ながらも、その時を迎える私は控え室のトイレにしゃがみ込んだ!と同時ぐらいに看護師の声!「お父さん、入って下さい!」いざ出陣の時、初めての共同作業、新しい生命を、自分の子供を誕生させる!ここからは私達夫婦はただただ待つしかない!唸り声と看護師さんの必死な声だけが少し太陽の光が入った廊下に轟く!
幾分か後
「アンギャ〜〜オンギャー」と大きな大きな声!顔を見合わせる愛嫁の瞳も水を含んでいた!
幾分か後
「ギィ〜」と分娩室のドアが開く!そこからは青白く倒れそうなラガーマンの姿!
すかさず愛嫁「どっちに似てる?」
ラガーマン「シワクチャでわからへん」と号泣!
この婿で良かった!
握手をし、そっと抱きしめるとT -シャツはビチョビチョだった!
とりあえず、チビに触る前に手を洗おうと決めた私であった。
「良かった、ホンマ良かった」と連発するラガーマン!「頑張った、頑張った」と連発する愛嫁!その横を看護師が笑顔で通る!「母体は大丈夫ですか?」
看護師さん「はい大丈夫ですよ、もう今、分娩室で朝御飯食べていますよ」
愛嫁と私「・・・ハハハ。」
その日の夜は久しぶりに飲んだ〜〜〜〜!
速攻で大阪から飛んで来てくれた、ラガーマンの親と腹いっぱい食べて飲んだ〜〜
「良かった、ホンマ良かった、立ち会えたのも嬉しかった〜〜」とジョッキ片手に親に説明するラガーマンと「この子がこんな風に言ってくれる事が嬉しい」と笑顔のお母さん!
次の日の夕方には「もう!後ろの車が待ってはるから」と駅の入り口前で、仕事とはいえ中々動こうとはせず、半泣きで立ちすくむ我が子を引っ張る羽目になろうとは、この時は知らない!
娘が生まれ変わっても、この婿、この義母、そして、この子の母でありますように!